頸部痛にも喫煙が関連

タバコを止めるべき理由がまた1つ見つかった。新たな研究によると、喫煙により頸部の椎間板が損傷される可能性があるという。椎骨の間にある椎間板は脊椎への衝撃を吸収する役割を担うが、加齢とともに水分が減少して縮小し、その変性が首の痛みを引き起こす。今回の研究では、喫煙がこの自然な摩耗をさらに悪化させることが明らかにされた。

研究グループは、182人のCTスキャンを分析。その結果、現在喫煙中の人は喫煙していない人に比べ、頸部の椎間板変性疾患(DDD)が進行していた。この知見は米カリフォルニア州、サクラメントで開催された米国物理療法専門医会(AAP)年次集会で発表された。

「これはタバコの有害作用の新たな一例だ。タバコの乱用はさまざまな疾患や死亡に関連しており、慢性頸部痛に関連する生活習慣上の因子がある」と、研究を率いたエモリー大学物療医学・リハビリテーション部門研修医のMitchel Leavitt氏は述べている。「ペインクリニックや脊椎クリニックは慢性的な頸部痛や腰痛の患者であふれている。今回の研究は、患者に禁煙の必要性を説こうとする医師にとって援護射撃となるものである」、同氏は付け加えている。

これまでの研究で、喫煙と下部脊椎の椎間板変性との関連が示されていたが、頸部についても同様の関連が示されたのは今回が初めて。Leavitt氏によると、喫煙により、脊椎椎間板に必要な栄養を送るための血管が損傷されるという。「健康的な生活習慣と、生活の質および寿命の向上、さらには良好な疾患管理との関連を示す研究はますます増えている。脊椎の健康も同様であり、今回の研究は、慢性腰痛にも関連する血管の健康に着目した既存の研究を裏打ちするものである」と同氏は述べている。