臨床ダイジェスト

§神経障害性疼痛の時刻変動機序を解明

九州大学は10月17日、副腎皮質から分泌されるホルモンの概日リズムに着目して、神経障害性疼痛が時刻により変動する仕組みを明らかにしたことを発表した。この研究は、同大大学院薬学研究院の大戸茂弘教授、小柳悟教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Nature Communications」オンライン版に10月14日付けで掲載されている。

神経障害性疼痛は、軽い触刺激でも激痛を引き起こす「痛覚過敏」が特徴で、神経のダメージで発症する慢性的な疼痛。発症には脊髄のミクログリアにおけるプリン受容体の増加が重要な役割を担っており、このこの受容体はアデノシン三リン酸(ATP)で刺激されて痛みを引き起こす。一方で、神経障害性疼痛における痛覚過敏の程度は、時刻によって変動することが知られていたが、その仕組みは明らかにされていなかった。

同研究グループは今回、マウスを用いた実験によって、副腎皮質からのホルモン分泌が上昇する時間帯に、脊髄のアストロサイトからATPの放出が増えることを見出した。放出されたATPはミクログリアのプリン受容体を刺激して痛みを悪化させており、副腎皮質ホルモンによって生じるATP放出の概日リズムが、神経障害性疼痛の時刻の違いを引き起こしていることを突き止めたという。

山口自律神経研究所においては、治療の際はせめて楽にしてあげるために。副腎の興奮を抑えるために副腎の支配であるT8~L1の脊髄神経をレーザーによりパラメラン照射をおこなっている。T10からは、脊髄腰膨大すなわち腰髄が存在しており、そこにレーザー照射するこにより、下肢末端まで血流改善することをサーモグラフィーで実証した論文は、すでに山口自律神経研究所の院長らによって、日本レーザー治療学会誌Volume11Number2 2012別冊に掲載されている。

多くの生物は、地球の自転に伴う外部環境の周期的な変化に対応するため、自律的にリズムを発振する機能(体内時計)を保持しており、この体内時計の働きによって、睡眠・覚醒のサイクルやホルモン分泌などに概日リズムが生じている。今回研究対象にした神経障害性疼痛以外にも、様々な疾患の症状に概日リズムが認められていることから、体内時計の視点から病気のリズムの仕組みを解明し、新しい治療薬の開発や疾患の予防に役立てていきたいと、研究グループは述べている。