必要なのは「根性」ではなく「リラックス」

好対照の例として、野球の松坂選手がプロ入りしたときの監督の話があります。

準決勝の8回裏、6対0で負けていた。その時に、円陣を組んで監督が、何かひとことふたこと言いました。その後、横浜高校の選手たちは4点をとり、6対4になります。そして9回の表に相手の点を0に抑え、9回の裏、横浜高校の攻撃の時に、6対4だったのが6対6になって、ついに6対7、逆転サヨナラです。

そして翌日決勝戦で、松坂がノーヒット、ノーランでプロ入りするこになりました。決勝戦でのノーヒット、ノーランは初めてのことだそうです。

そういうわけで、松坂選手のプロ入りに華を添えたわけですが、では、その8回裏で円陣を組んだ時に、監督はいったい選手たちに何を言ったのか?もう、この試合は勝ち負けを考えなくてよい、楽しんでこい、と言ったのだそうです。決勝戦まで出て頑張らなくていい、と。そして選手たちも、この試合は勝てないだろうと思っていたので、あとは個人個人が楽しむことに切り替えました。楽しむためにはどうしたのか?ピッチャーが投げようとしたらバントのマネをしてみるとか、1塁に出た選手は、あとはテレビに長く映るためにどうするかという考えになっていた。盗塁と見せかけてチョロチョロしていれば牽制球を受けてテレビに映るわけですから。

楽しんでいいと言われた選手は、思い切って、リラックスして冒険ができたようです。一方、相手の投手はイライラしてくると、筋肉が固まってしまうので球速が上がらない。おもしろいことに、人間の筋肉は、リラックスしてくるとよく動くようにできています。高校生のバットスイングというのはヘッドスピードが時速約100kmほど。長嶋茂雄さんのヘッドスピードは約120km。イチローさんが130kmほどです。120kmで当たれば、だいたい3割がヒットになる。130kmだと4割です。

高校生は監督に怒鳴られると、100kmのヘッドスピードが90kmに落ちる。逆に、好きなようにやっていいと言われると、20%はアップします。そして時速120kmになることも可能です。時速120kmですから長嶋級です。そしてカンカンと打ちはじめた。ですから、実力を発揮したいと思ったら、リラックスすること。そして指導者は、萎縮させたらダメみたいです。笑顔で指導してくれる人が本物。大声を出したり、根性だとか、絶対に勝つんだとか、そういうことで追い込んでも、壁を超えることは出来ないということのようです。山口自律神経研究所では痛みや症状の治療だけでなく、試合前のリラクゼーションのために交感神経の過緊張をとることもお受けしています。