今でもぶれない正常分子栄養学

最近では生活習慣病へのリスクから、ダイエットに関心が行き、民間企業などでは、タニタ食堂、ライザップなどが有名になり、その人に合った運動・筋トレとバランスのとれた食事が実践しなければならない大切な事だというのは、誰もが否定しないでしょう。さて日本が戦前戦後で貧乏だった時代は、カロリー栄養学が妄信されていました。風邪をひいて医者に行くと「栄養の有るものを食べて養生しない!」と言われました。栄養の有るものって何ですか?と医者に尋ねるとカロリーの高いものという答えが返ってきました。(大笑い)今でも無知な糖尿病患者の多くはカロリー栄養学の事にしか頭が働きません。

正常分子栄養学は細胞に必要な栄養素を追及する学問です。今の時代でも十分通用します。私は30年近く前から、肥満の人は栄養失調だ!と説き続けて来ました。丁寧に言うと【カロリーオーバーの栄養失調】です。糖質・脂質の摂取し過ぎがカロリーオーバーで、タンパク質・食物繊維・ビタミン・ミネラルが、てんで足りていないんですね!それが栄養失調です。最近では新型栄養失調などとマスメディアで取り上げられるようになりましたが、私からしてみれば、何が新型なもんですか!前々からカロリーオーバーの栄養失調だ!と日常診療の中で折に触れて力説してきました。今頃になって「先生は本当に言っている事が一貫していてぶれませんね!」なんていう患者さんもいます。(笑い)

タンパク質を例に取ると1日に体重×1.08グラム必要です。ここで大豆に関してワンポイントアドバイスです。栄養は組み合わせの合わせ技1本です。例えば大豆100グラムで35グラムのタンパク質が含有されていますが、メチオニンというアミノ酸が56ポイントしか有りません。従いまして単品で大豆100グラムを摂取しても100グラム×0.56=20グラムしか身になりません。しかし卵黄はメチオニンのプロテインスコアが100点です。ですから例えば納豆100グラムに鶏卵一個を入れて混ぜて一緒に食べると35グラムまるまる身になり、鶏卵(L卵)1個には6グラムのタンパク質が含有していますので、合わせて41グラムのタンパク質を摂取できるんです。ですから栄養というのは、何が良い何は悪いでは無く、組み合わせの知恵なんです。塩分を摂りすぎたと思ったらトマトでも食べてカリウムで調節すれば良いし、コレステロールを摂ったと分かれば大豆でも食べてレシチンで均衡を取れば良いんです。そろそろ無知の極みのカロリー栄養学から離れてみてはいかがでしょうか!?