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骨を溶かす場面、長時間観察 骨粗しょう症早期診断に道

骨粗しょう症や関節リウマチの発症に関与する「破骨細胞」が、生きたままのマウスの体内で骨を溶かす場面をリアルタイムで長時間観察することに大阪大の菊田順一助教(免疫学)らのチームが成功し、31日までに米科学誌(ネイチャー・ケミカル・バイオロジー)の電子版に搭載された。

破骨細胞は骨の形成とバランスを取りながら古い骨を分解する役割を担うが、過剰に働くと骨粗しょう症や関節リウマチを起こす。どう働いているかを迅速に把握することで、早期診断や新たな治療薬の開発に役立つ可能性があるという。

チームによると、破骨細胞には骨を溶かすものと、動き回るだけで骨を溶かさないものがある。これまでは破骨細胞が蛍光タンパク質で光るようにした遺伝子改変マウスを作製することで、体内のどこにあるのかは分かったが、骨を溶かしている場面を捉えるのは難しかった。

チームは、破骨細胞が骨を溶かす際に出す酸と反応して光る物質を開発。これを生きた遺伝子改変マウスに注入し、蛍光タンパク質の光と同時に検出できる特殊な顕微鏡を使って、破骨細胞が移動する状況だけでなく、骨を溶かす場面も最大24時間程度観察できるようにした。